研究概要 |
本研究の目的は、アクチン結合分子GirdinとDISC1の機能解析を通して生後、すなわち新生仔(児)期と成体期における神経新生の分子メカニズムと精神機能の分子病態を解明することである。 さらにGirdinの発現制御機構やそのファミリー分子の細胞生物学的解析を通して、生後の神経新生を制御するより普遍的な分子ネットワークおよび細胞内シグナル伝達機構を明らかにする。本年度は下記の事項について検討した。 (1)時期・組織選択的にGirdin遺伝子を欠失させることが可能なコンディショナル遺伝子改変マウスを作成するためのF1マウスを作出した。今年度はさらに神経組織特異的にCreリコンビナーゼを発現するnestin-Creマウスと掛け合わせることで、神経特異的遺伝子改変マウスを作成した。海馬歯状回および脳室下帯における組織学的解析を現在実施している。 (2)脳室下帯で産生される新生神経細胞の移動におけるGirdinとDISC1の意義を引き続き組織学的に解析した(Wang et al., in revision) (3)Girdinのファミリー遺伝子であるGipieをクローニングし、その機能解析を施行した。Girdinと同様に神経系での機能を期待したが、その発現様式は血管内皮およびマクロファージ系の細胞に限られていた。Gipieの結合分子GRP78を同定し、細胞のERストレス環境下におけるその分子結合の意義を解析し報告した(Matsushita et al. Mol Biol Cell 22:736-747, 2011)。
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