研究課題
腸管は食物の吸収や常在細菌叢との共生のため、免疫寛容を誘導して炎症などを抑制する一方で、侵入してくる病原体に対しては適切に認識を行い、免疫反応を誘導して排除を行う。しかし、どのような細胞が病原体を認識するか、またいかにして免疫寛容を凌駕し免疫系を活性化させるかについては殆ど分かっていなかった。最近、小腸の粘膜固有層には、2種類の樹状細胞(DC)、マクロファージ、好酸球の4つのサブセットからなることが分かり、CD11c^<high>CD11b^<high>の樹状細胞が特異的にToll-like receptor (TLR)5を発現しており、IgA産生形質細胞の分化や、抗原特異的なCD4^+ヘルパーT_H1細胞とT_H-17細胞の分化をTLR5の刺激依存的に誘導出来ることを明らかにした。本研究課題では、これまで機能を明らかにしたCD11c^<high>CD11^<high>樹状細胞に加えて、マウス小腸に存在する他の3つの抗原提示細胞サブセットの機能解析を行う。個々のサブセットの機能だけでなく、サブセット間のクロストークも考慮し、マウスの腸管粘膜における免疫制御の仕組みを明らかにする。今年度は、マウスの小腸粘膜固有層に存在しているCD103陽性の樹状細胞(DC)を解析した。我々はCD103DCがCD8α+とCD8α-のDCに分かれることを見いだした。興味深いことにCD8α-DCは我々がこれまでに解析してきたTLR5を発現するDCであった。今回、新しいサブセットであるCD8α+DCの機能を解析した。このDCはTLR3,7,9を発現しており、リガンドに反応してIL-6やIL-12を産生したCD8α+DCはレチノイン酸を産生出来ず、制御性T細胞やIgA産生形質細胞を誘導することが出来なかった。一方、TLRリガンドに反応してTh1反応を誘導した。In vivoにおいては、抗原特異的なIgG産生とTh1応答を認め、中等度の細胞傷害活性も誘導した。腸管粘膜固有層の新しい樹状細胞サブセットの機能を解析した。
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