本研究では、欧米で効果が実証されている妊娠中(オーストラリアMatthey Sらの夫婦間の共感を高めるプログラム)と産後早期(カナダの「完壁な親なんていない」プログラム)育児支援プログラムを、日本とベトナムにて適応・実施・評価してきた。本年度は最終年度として、成果公表も行った。 1.日本における産後プログラム:平成22年度までに長期的評価まで終了した。 2.ベトナムにおける産後プログラム:産後うつは育児状況に関連し、背景要因にソーシャルサポートがあることを把握した上で、産後プログラムを試験的にホーチミン市医科薬科大学関連病院で実施し、現地での実行可能性と母親のプログラムの受容を確認した(論文掲載2編)。 3.日本における産前プログラム:モデルプログラムを日本の保健現場に適応するよう翻訳・改変、福島県白河市にて試験的に実施し、実行可能性を確認した(投稿中)。基礎資料として、母親の両親学級への参加意思は、育児困難ハイリスク要因の有無とは関連なく、系統的スクリーニングによる事業への呼びかけの重要性を明らかにした(投稿中)。 4.ベトナムにおける産前プログラム:日本で実施中のプロトコールを越語訳し、ホーチミン市医科薬科大学関連病院にて試験的に実施し、実行可能性を確認した(投稿中)。 5.成果公表:両国でそれぞれ、これまでの成果公表と事業に関連する保健医療従事者のトレーニングを兼ねた研修会を実施し、研修ビデオを作成した。ベトナムでは研修ビデオの評価調査まで行い、約9割の医師・助産師が視聴後、育児支援プログラムを実施する関心が高まったと回答した。
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