研究概要 |
<I. 心筋細胞のストレス応答と細胞核クロマチンリモデリングの関係> 心筋細胞ストレス応答と核クロマチン構造の変化、すなわちユークロマチン領域とヘテロクロマチン領域の変化を明らかにすることを目的として、マウス慢性心不全モデルを作成し不全心筋から単離adult心筋細胞を用いた検討を行い、転写focusを評価する目的でRNA polymerase IIを標的とした免疫染色を行った。 不全心筋由来の単離心筋細胞とコントロールとなる正常心筋細胞のRNA polymerase II focusを画像解析ソフトにてカウント解析を行い、不全心筋細胞のRNA polymerase II focusが優位に多いことを明らかにした。同時に心不全形成過程における不全心筋細胞核クロマチン構造について時間経過とともに電子顕微鏡像構造比較し、ヘテロクロマチン構造変換が病態進行に従って顕著になることを示した。 <II. 心不全病態変化とエピジェネティック修飾の関係> 検討Iと同様の細胞を用いてマイクロアレイ法による遺伝子発現解析を行い、エピゲノム解析を行う上で比較対象できる遺伝子プロファイルを作成した。 心不全と強く相関する胎児性遺伝子(ANP、BNP)の遺伝子内全ゲノム領域を対象に、核クロマチン構造変化に影響を及ぼすと考えられる転写因子・ピストン修飾変化についてクロマチン免疫沈降法による解析を行った。胎児性遺伝子プロモーター領域に特に遺伝子転写活性化に寄与すると考えられるピストン修飾(H3K4-Me、H3K9-Ac)が変化するとともに転写因子が結合集積すること明らかにした。 <III. 心不全におけるクロマチンリモデリング因子・HP1蛋白の機能解析> カラム分画化処理において病態に連動する変化を認めたHP1について、翻訳後修飾解析を行った。HP1α,β,γのサブファミリーにおけるHP1修飾変化を見出し、アミノ酸変異体を用いた機能解析を行った。
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