EML4-ALK陽性肺がんの早期発見法の実用化ならびに実際の同遺伝子の頻度を確認することを目標に、全国の共同研究機関からなる大規模臨床試験ネットワーク「ALK肺がん研究会」を設立した。本ネットワークを通じて全国から集まる肺がん臨床検体をスクリーニングするプロジェクトを開始し、喀痰、胸水、気管支洗浄液、生検組織(肺や転移リンパ節など)、手術切除組織など既に500例を超える検体を収集した。これらの検体からそれぞれRNAを純化してcDNAを合成後、EML4-ALK cDNAの全バリアントの検出が可能なmultiplex RT-PCR法を用いて検査した結果、数十例に及ぶ陽性症例を検出することに成功した。いずれの陽性例もすべて病理組織型は腺がんでEGFR遺伝子変異を認めておらず、EGFR遺伝子変異陽性患者に効果が高いとされているイレッサ(R)やタルセバ(R)による治療の適応とならない肺がんの新たなサブグループとなることが中間解析ではあるが確認されている。我が国におけるEML4-ALK陽性肺がん治療の臨床試験も現実のものとなり、正確な同肺がんの分子診断および臨床病理学的特徴の解明はさらに重要になると考えられる。
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