脂肪酸伸長酵素Elov16の肝臓における生理的意義解明と新規生活習慣病治療法開発

2009 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 21689025
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 松坂 賢 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (70400679)
• キーワード: メタボリックシンドローム / 脂肪酸合成 / 肝臓 / 脂肪酸組成

研究概要

Elov16は炭素数12-16の飽和および一価不飽和脂肪酸を基質とする脂肪酸伸長酵素である。我々はElov16欠損マウスの作製・解析により、食餌性および遺伝性肥満モデルマウスにおいて、Elov16の欠損がインスリン抵抗性からマウスを保護することを明らかにし、本酵素がメタボリックシンドロームの病態に重要な役割を果たしていることを明らかにした。Elov16欠損マウスにおける脂肪酸組成の変動、様々な代謝変動やインスリン感受性の亢進が肝臓で認められたことから、本研究では肝臓特異的Elov16欠損マウスを作製し、肝臓におけるElov16の生理的・病態生理的意義をより解明するとともに、細胞内脂肪酸組成の変化に応じたエネルギー代謝、インスリン感受性調節の分子メカニズムを解明し、脂肪酸組成の制御を基盤とした新しいメタボリックシンドロームの予防法、治療法の開発を目的とする。本年度は、組織特異的Elov16欠損マウス作製のためにelov16 floxedマウスの作製に取り掛かり、その樹立に成功した。現在、Albumin-Creトランスジエニックマウスとの交配により、肝臓特異的Elov16欠損マウスの作製を行っている。また、生活習慣病モテルであるob/obマウス、db/dbマウスとElov16全身欠損マウスの交配動物を作製し、その表現型を解析している。Elov16の欠損によりob/obマウスやdb/dbマウスの高血糖や高インスリン血症が改善されることが確認できたため、そのメカニズムを今後解析する予定である。

研究成果

• [雑誌論文] Protein kinase Cbeta mediates hepatic induction of sterol regulatory element-binding protein-1c by insulin (2010)
  • 著者名/発表者名: Yamamoto T, Watanabe K, Inoue N, Nakagawa Y, Ishigaki N, Matsuzaka T, Takeuchi Y, Kobayashi K, Yatoh S, Takahashi A, Suzuki H, Yahagi N, Gotoda T, Yamada N, Shimano H.
  • 雑誌名: J Lipid Res. Feb 23.(Epub ahead of print)
  • 査読あり
• [雑誌論文] Polyunsaturated fatty acids selectively suppress sterol regulatory element-binding protein-1 through proteolytic processing and autoloop regulatory circuit (2010)
  • 著者名/発表者名: Takeuchi Y, Yahagi N, Izumida Y, Nishi M, Kubota M, Teraoka Y, Yamamoto T, Matsuzaka T, Nakagawa Y, Sekiya M, Iizuka Y, Ohashi K, Osuga J, Gotoda T, Ishibashi S, Itaka K, Kataoka K, Nagai R, Yamada N, Kadowaki T, Shimano H.
  • 雑誌名: J Biol Chem. 285(15) ページ: 11681-11691
  • 査読あり
• [雑誌論文] The liver-enriched transcription factor CREBH is nutritionally regulated and activated by fatty acids and PPARalpha (2010)
  • 著者名/発表者名: Danno H, Ishii KA, Nakagawa Y, Mikami M, Yamamoto T, Yabe S, Furusawa M, Kumadaki S, Watanabe K, Shimizu H, Matsuzaka T, Kobayashi K, Takahashi A, Yatoh S, Suzuki H, Yamada N, Shimano H.
  • 雑誌名: Biochem Biophys Res Commun. 391(2) ページ: 1222-1227
  • 査読あり
• [雑誌論文] Elovl6 : a new player in fatty acid metabolism and insulin sensitivity (2009)
  • 著者名/発表者名: Matsuzaka T, Shimano H.
  • 雑誌名: J Mol Med. 87(4) ページ: 379-384
  • 査読あり
• [学会発表] Nutritional regulation and physiological role of ELOVL family member 5(Elovl5) (2010)
  • 著者名/発表者名: Takashi Matsuzaka, Saori Koyasu, Yoshimi Nakagawa, Tomotaka Yokoo, Nobuhiro Yamada, Hitoshi Shimano
  • 学会等名: 14^<th> International Congress of Endocrinology
  • 発表場所: 京都国際会議場
  • 年月日: 2010-03-30
• [学会発表] 糖尿病における脂肪酸組成コントロールの重要性と長鎖脂肪酸伸長酵素Elovl6の役割 (2009)
  • 著者名/発表者名: 松坂賢、山田信博、島野仁
  • 学会等名: 第52回 日本糖尿病学会学術集会
  • 発表場所: 大阪国際会議場
  • 年月日: 2009-05-23
• [学会発表] 非アルコール性脂肪性肝炎の発症・進展における脂肪酸伸長酵素Elovl6の役割 (2009)
  • 著者名/発表者名: 松坂賢、島野仁、渥美綾香、山田信博
  • 学会等名: 第82回 日本内分泌学会学術集会
  • 発表場所: 群馬県民会館
  • 年月日: 2009-04-24
• [備考]
  • URL: http://www.md.tsukuba.ac.jp/clinical-med/endocrinology/research/