研究概要 |
本年度は以下の実験を行ってきた。 1,O-Man型糖鎖合成におけるfukutin、FKRP、LARGEの役割の検討 つい最近、LARGEの糖転移活性の検出が報告された。リン酸化糖鎖へのLARGE糖鎖の繋がりの箇所でfukutin、FKRPが関わっていることが考えられ、α-DGのタンパク質部分を工夫し糖鎖の質量分析を進行している。またその糖鎖と疾患で見られる異常糖鎖に対するモノクローナル抗体を作成している。一方で、酵素的な糖鎖構造決定を行っている。 2,O-Man型糖鎖の合成機序の解明 fukutin、FKRP、LARGE、POMGnT1の抗体を作成し、内在性のfukutin、FKRP、LARGE、POMGnT1が結合していることを明らかにした。一方で、未知の結合タンパク質を同定するために、fukutinの免疫沈降物の質量分析を行っている。 3,α-DGpathyに対する治療法の構築 MCKプロモーターfukutin遺伝子、CMVプロモーターLARGE遺伝子のアデノ随伴ウイルスベクターを作成し、FCMDマウスに筋肉注射、および腹腔内注射を行ったところ、糖鎖異常の改善が見られた。SVA挿入変異に対するアンチセンス治療の可能性を示した。脳の治療の可能性を開くために、超音波を用いた脳へのベクター等の導入を試みた。マーカー色素で導入されることを示した。 4,高次脳機能とO-Man型糖鎖との関係の検証 中枢神経特異的fukutin欠損マウス(nestinプロモーター)の詳細な解析を行った。脳組織の異常は、疾患と同様、大脳と小脳に見られたが、軽症であった。行動解析を行うことを予定している。
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