経皮的に侵入した抗原や、皮膚関連自己抗原への免疫応答の調節は樹状細胞が行っていると考えられている。皮膚の代表的な樹状細胞であるランゲルハンス細胞(LC)がどのような経路で皮膚に入っているのか、また、その分子メカニズムはどうなっているのか。これらを明らかにすることにより将来炎症性疾患で免疫をコントロールする新たな糸口が見つかるはずである。我々はランゲルハンス細胞を一過性に消去しうるLangerin-DTRマウスを用い、LCが消去してから復帰する動態を解析し、2経路存在することを確立した。一つは復帰当初からLCの表面マーカーを全て発現し、島状に復帰する経路、もう一つはMHC class IIのみを発現し、個細胞の状態で復帰する新しい経路であり、この両者とも毛嚢を経由していた。 本年度計画の一つはLangerin-DTRに細胞分裂周期を可視化できるFucciマウスと交配し、分裂中のLCを捉えることであった。その予備実験としてFucciマウス骨髄をLangerin-DTRマウスに移植し、可視か出来るかを2-photon microscopyを用いたin vivo imagingで評価した。残念ながら、Fucciマウス由来の細胞は蛍光輝度がin vivo imagingを行うには十分でなく、LCを解析に耐えうる程可視化出来なかった。もう一つの計画であったLangerin-DTRマウス(当初CD45.2背景)をCD45.1にバッククロスすることが出来た。これにより、CD45.2の骨髄をLangerin-DTRマウスに移入し、ドナー由来の骨髄が確かにLCに分化することが確認できた。この実験系にを用いて、ドナー由来のMHC class II陽性LC前駆細胞をフローサイトメトリーを用いて確認、セルソーターで分離することが可能となった。この系を用いて、MHC class II陽性LC前駆細胞がどのように表皮内にホーミングしているのかを解析したい。
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