皮膚は外界と接する最外層のバリアであり、ここでは微生物やアレルゲンに対する活発な免疫応答が行われる。表皮唯一の樹状細胞であるランゲルハンス細胞は経皮免疫の起点となる重要な役割を担うと考えられており、ランゲルハンス細胞の再生・生理学を解析することは経皮免疫を理解する上で必須のことと言えよう。しかし、ランゲルハンス細胞がどこから供給され、どのようにして維持されているのかは多くのところ不明であり、この問いは樹状細胞領域の最大の関心の一つである。我々の目的は、ランゲルハンス細胞がどのような経路および機序で皮膚へ到達するのかを解析することにより、経皮免疫の仕組みをより深く理解することである。平成22年度は骨髄由来のランゲルハンス細胞を区別するシステムの構築が終了した。すなわち、ランゲルハンス細胞を一過性に消去しうるLangerin-DTR (diphtheria toxin receptor)をCD45.1背景にバッククロスした。このマウスにCD45.2マウス由来の骨髄を移植することによりCD45.2陽性のランゲルハンス細胞を皮膚で同定することに成功した。また、このシステムを用いることにより、種々のノックアウトマウス(多くの場合CD45.2)の骨髄を移植し、ランゲルハンス細胞への影響を観察できるようになった.同様に、蛍光色素(eGFP)を全身に発現するマウスの骨髄をLangerin-DTRマウスに移植することにより、移植した骨髄由来の血球細胞を蛍光色素にて識別できるようになった。このシステムを利用し、2光子顕微鏡のシステムを立ち上げ、ランゲルハンス細胞の皮膚に到達するまでの動態を生きたまま観察することができる基盤が整った。
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