マウスの摘出心臓をランゲンドルフ法にて灌流することで、単一心筋細胞を取り出した。得られた心筋細胞をディッシュに定着させ、培養を行った。その後、遊離心室筋細胞に対し短期虚血、オピオイド、および吸入麻酔薬を用いてポストコンディショニング刺激を行った。ポストコンディショニング刺激を行った細胞をホモジナイズし、超遠心を行う事で密度勾配遠心法にて細胞分画を得た。この細胞分画を用いて、イムノブロット法を行う事により、各ポストコンディショニング作用のシグナル伝達物質として、オピオイド受容体、ATP感受性Kチャネル、Protein Kinase C、Nitric Oxide Synthase、Src、Phosphoinositide 3-kinase、Protein Kinase Bの関与が明らかとなった。 さらに、上記酵素法にて取り出した心室筋細胞を前述の伝達物質およびカベオリン-3と共に蛍光抗体を反応させることによってタンパクの局在を調べた。共焦点顕微鏡を使用し局在を同定した結果、カベオリン-3とオピオイド受容体、ATP感受性Kチャネル、Protein Kinase C、Nitric Oxide Synthase、Src、Phosphoinositide 3-kinase、Protein Kinase Bが共発現していることによりこれらの伝達物質がカベオリン-3を介した作用であることが明らかとなった。さらに、カベオリン-3のノックアウトマウスを用いることでこれらの実験の結果が棄却されることを明らかにし、ポストコンディショニング心筋保護作用におけるカベオリン-3の重要性を明らかにした。
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