研究課題/領域番号 |
21689047
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
久保田 義顕 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (50348687)
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キーワード | 細胞・組織 / 循環器・高血圧 / 発現制御 / 臨床 / 発生・分化 |
研究概要 |
申請者のこれまでの研究成果である、血管の「量」そのものは組織への酸素・栄養運搬という血管機能とは相関しないという観察(Kubota et al. J. Clin. Invest. 2008)および、M-CSF変異マウス(CSF-1^<op/op>)の解析結果から、マクロファージが発生期血管新生の「質」を規定するメカニズムの一部であるという知見(Kubota et al. J. Exp. Med. 2009)に着目し、新生血管の「質」を規定するメカニズムに関して更なる解析を行うとともに、創傷治癒過程におけるこのメカニズムおよび、その意義を明らかにすることを目的として前年度より継続して解析が遂行された。本研究においては、GFP骨髄キメラマウスの系を用いて、創傷治癒に動員される骨髄由来細胞の大部分がマクロファージであり、骨髄由来血管内皮細胞は一個も存在しないことを見いだした。また、CSF-1^<op/op>マウスは創傷部位においてもマクロファージがほぼ欠如しており、マクロファージ由来の細胞外マトリックス関連遺伝子の発現低下も確認した。CSF-1^<op/op>マウスの創傷治癒過程を解析したところ、血流が著明に低下し、創傷治癒が有意に遅延することを見出した(Okunoetal.籾boゴ2011)。また本研究において、Po陽性組織定着性血管前駆細胞(Kubota et al. J. Exp. Med. 2011)が創傷治癒モデルにおいて、新生血管に新たな血管内皮細胞のソースとして寄与することを見出し(Okabe et al. in preparation)、その意義について現在詳細に検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までの成果により、マクロファージが発生期血管新生の「質」を規定するメカニズムの一部であることを見出し、報告に至った(Okuno et al.Blood 2011)。また更なる新たな展開として、我々の見出したPo陽性組織定着性血管前駆細胞(Kubota et al. J. Exp. Med.2011)が創傷治癒モデルにおいて、新生血管に新たな血管内皮細胞のソースとして寄与することを既に見出している(Okabeeta1.in preparation)。
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今後の研究の推進方策 |
マクロファージ(Okuno et al. Blood 2011)とPo陽性組織定着性血管前駆細胞(Kubota et al. J. Exp. Med.2011)が創傷治癒において血管新生の「質」を規定するメカニズムの一部であることを見出したが、その詳細なメカニズムについては不明な点が多い。その意義について今後研究を展開していく。
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