研究課題
再生核ヒルベルト空間に係る関数推定という主題に関連し、以下のことを明らかにした。1.我々は以前、不変な計量をもつ再生核ヒルベルト空間の族において、推定対象となる関数を含む最少のヒルベルト空間がモデル空間という意味で最適であることを理論的に明らかにした。一方、必ずしも不変な計量を持たない再生核ヒルベルト空間の族に対して同様の性質が成立するかどうかは不明であったが、これに対し具体的な反例を構成することにより、同様の性質は成立しないことを理論的に明らかにした。2.不変な計量を有する再生核ヒルベルト空間の族の中で、未知の推定対象を含む最小の再生核ヒルベルト空間が最も良いモデルを与えることを示したが、一方で、当該族に対する雑音の挙動は解明されていなかった。これに対し、狭い再生核ヒルベルト空間を用いた場合は、雑音成分の分散が増加することを理論的に解明した。本研究課題の解析に有用と考えられる、線形系に関する以下のような知見を得た。1.行列の部分同時対角化という線形代数における新たな技法を開発するとともに、その応用として、コンピュータビジョンにおける3次元形状復元の推定精度の向上を図った。2.非負値行列分解において、基底ベクトルの一部が事前知識として利用可能である場合、当該知識を利用することにより推定精度を向上させる手法を開発した。3.欠損部を有する楽譜データに対し、ウィーナーフィルタを適用することにより、当該欠損部を推定する手法を開発した。4.行列の同時対角化問題に対し、所与の行列集合の元それぞれをそのトレースで正規化することにより、同時対角化行列の推定精度を向上させる手法を開発した。5.線形推定理論、及び、データベースを利用することにより、JPEG画像の画質改善を実現する手法を開発した。
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電子情報通信学会技術報告,回路とシステム
巻: Vol.111, No.465 ページ: 13-18