グラフ圧縮アルゴリズムの設計と周辺分野の調査を重点的に行った。とくに、極大平面グラフ、擬直線アレンジメントに着目して研究を進めた。極大平面グラフに関しては、圧縮アルゴリズムの設計と高速に問合せをサポートする方法を設計した。問合せとしては(1)隣接判定、(2)次数判定、(3)時計回りに次に現れる頂点の計算、の3種類をサポートすることができる。とくに(3)の問合せは、平面グラフに関するアルゴリズムで非常に良く使われる命令であるため実用性が高い問合せであると言える。以上の結果を論文にまとめ、現在、学術雑誌へ投稿中である。擬直線アレンジメントは計算幾何の分野で非常に重要なオブジェクトであることが調査により明らかになった。しかし未だに最適な符号の長さが明らかになっていないことも分かった。そこで、計算機を用いて擬直線アレンジメントを列挙することにより数え上げを行い、擬直線の本数が1本から11本のとき、最適な符号の長さを明らかにした。この結果により設計した符号の良し悪しを測ることが可能になった。擬直線が11本のときのアレンジメントの個数は今まで知られておらず、数学的にも非常に興味深い結果である。2部置換グラフに関しても、数え上げの結果を与えることにより、最適な符号の長さを計算できるようになった。
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