研究概要 |
グラフ圧縮アルゴリズムの開発を行った.とくに,極大平面グラフや格子方形描画に着目して研究を進めた。極大平面グラフに関しては,圧縮アルゴリズムを設計し,高速に問合せをサポートする方法を設計した.圧縮アルゴリズムにより,n頂点からなる極大平面グラフ6n bitで表現することができる.問合せとしては(1)隣接判定,(2)次数判定,(3)時計回りに次に現れる頂点の計算,の3種類をサポートすることができる.問合せの解を計算するための計算時間はそれぞれ0(1)時間である.とくに(3)の問合せは、平面グラフに関するアルゴリズムで頻繁に使われる命令であるため実用性が非常に高い.また,格子方形描画を圧縮してコンパクトに表現する方法を設計した.方形描画を圧縮する技術はすでに知られているが,格子方形描画を圧縮する方法は今までに知られていなかった.格子方形描画は,方形描画の各辺を重みつきにしたグラフのクラスであり,より応用に近いグラフである,よって,既存のものよりも,より実用性が高い圧縮アルゴリズムを開発できたと言える.指定した個数の葉をもつ根つき順序なし木に対して列挙アルゴリズムを,真区間グラフに対して数え上げ・ランダム生成・列挙を行うアルゴリズムを設計した.各グラフクラスについて,列挙や数え上げによって個数を計算すれば,符号の上限を知ることができるので,これらの成果は,今後の圧縮アルゴリズムの開発のために非常に重要であると言える.
|