研究課題
量子計算機の様々なモデルに対し,実装の容易性を考慮しつつその計算能力を解析するのが本研究の目的である.平成23年度は主に以下に述べる3つのテーマについて研究を行った.まずはじめに重要な量子アルゴリズムの一つである量子ウォークについて,その振る舞いを調べる研究を行った.具体的には1次元の量子ウォークに対し,コイン演算子をsymmetric SU(2)演算子とした場合の n ステップ後の確率分布を解析的に求め,closed-form formulaで表現することに成功した.次に, 2つのビット列のハミング距離の推定問題を対象に,量子質問計算量の研究を行った.具体的には2つのビット列がオラクルとして与えられ,さらに|a-b|>1を満たす2つの値a, bが与えられた場合,2つのビット列のハミング距離がa以上もしくはb以下のどちらであるかを判定する問題である.この問題に対し,有界誤りでの量子質問計算量の上界および下界を求めた.3つ目に,非決定性量子通信計算量について,特に強非決定性と呼ばれるモデルについての研究を行った.複数のプレーヤーが参加する状況で(1)各プレーヤーは自分の入力のみを参照できる場合,(2)各プレーヤーは他人の入力のみを参照できる場合を考え,(1)については量子通信計算量の下界を,(2)については量子通信計算量の上界を求めた.さらに(2)のモデルにおいて非決定性量子通信が有界誤り量子通信より優位になる場合があることを示した.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
IEICE Trans. Inf. & Syst
巻: Vol. E96-D, No.1 ページ: 1-8
doi:10.1587/transinf.E96.D.1
IEICE Transactions on Information and Systems
巻: Vol.E95-D, No.3 ページ: 722-730
10.1587/transinf.E95.D.722