研究概要 |
本研究は精度保証付き数値計算,すなわち計算機の有限桁の浮動小数点数を用いて数値的に解きながら,演算結果の数学的な正しさを実用的なレベルで保証する方法に関する研究である.方程式の解を精度保証付きで求めるための要素技術の一つに区間演算がある.区間演算によって,演算結果としてあり得るすべての数を含む区間という形で,方程式の解を誤差評価付きで求めることができる.反面,区間演算には演算結果の過大評価(区間幅の増大)という欠点がつきまとう.通常,区間幅の増大を克服するためには,区間拡張する前の式を区間幅の増大を抑制する形に同値変形するというアプローチを取る.これに対し,研究代表者は区間のデータ構造それ自体を改良することで区間幅の増大を抑制する方法について検討してきた. 本研究は、変数間の相関を考慮する特殊な区間演算方式を採用することで問題となる計算量の増大を抑制するためのものである.平成21年度は関連する先行研究,とくにRefined Affine Arithmetic(以下RAA)の原理および性能について調査し,次いでこのRAAをベースとして本研究の目的を達成するための理論の検討に費やした.
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