研究概要 |
(1)OSの機能を利用した組込み向け機能拡張 デスクトップOS,サーバ用OSなどとは違い,組込みシステムではPOSIXシステムコールなどの一般的な機能が利用できないことがある.そこで,移植性のある機能だけではなく,OSに特化した機能を用いて特定環境下での性能向上を実現するための試作を行った.今年度はコルーチン機能を提供するFiberというクラスの実装を,POSIXの固有の機能,Windowsの固有の機能を用いて,それぞれの環境下での性能向上を達成した.また,移植性を確保するために,これら以外の環境では,性能はでないが移植性の高い手法を選択するようにしたこの成果はプログラミングシンポジウムで発表し,公式Ruby処理系への取り込み作業を行っている. (2)処理系のコンパクト化,省メモリ化 組込みシステムでは扱うことができる資源が限られているため,たとえばメモリ効率を高める工夫は重要である.そこで,まずはRubyのメモリ管理手法を根本から検討し直し,メモリ管理効率を向上する主張を開発した.開発したメモリ管理手法を用いて,いくつかの例で性能向上,メモリ利用率の向上を確認出来た.この成果は情報処理学会プログラミング研究会,およびRubyConf2009で発表した.また,Rubyプログラムでのメモリ利用状況を詳細に調査するためのメモリプロファイラを開発し,同じくプログラミング研究会で発表した.メモリプロファイラによって,メモリリークを検出し,その原因追及ができることを確認した.
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