本研究の目標は、組込みシステムを対象とした、リアルタイム性の高い対称型マルチプロセッサ用リアルタイムOSを実現するための基盤技術の開発と、その技術を用いたリアルタイムOS仕様を策定してオープンな実装を開発することである。 本研究テーマは大きく次の3つのサブテーマから構成されている。 1. アプリケーンレベルのタスク割当て 2. プロセッサ毎のリソース分割とキューイングロックの導入 3. 仕様の策定とオープンな実装の開発 平成21年度の成果は次の通りである。 1に関しては、リアルタイムOSにより、システム上の各処理毎の仕事の進捗を管理して、その進捗に従って、各プロセッサに割り当てられている処理の進捗が平均化するように、処理をプロセッサへ割り当てる機構について考案し、プロトタイプを実装した。本成果は、22年度中に学会発表する予定である。 2に関しては、プロセッサ問の排他制御のためのキューイングスピンロックのアルゴリズムのハードウェアアルゴリズムを考案し、プロトタイプとして実装して評価を行った。本ハードウェアにより、コスト制約が厳しい組込みシステムでも、プロセッサ間の排他制御の最悪値を保証できるようになった。 3に関しては、リアルタイムOSの仕様を策定し、NPI法人TOPPERSプロジェクトのメンバーである企業の技術者のレビューを受けて仕様書としてまとめた。そして、定めた仕様を実装し、TOPPERS/FMPカーネルRelease 1.1.0として、オープンソースでTOPPERSプロジェクトのWebサイトから公開した。
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