研究概要 |
2010年度の研究計画では,昨年度までに作成した辞書構築システムを改善する一方で,作成した辞書をソフトウェア開発に役立てるシステムの作成を行う予定であった. まず,辞書構築システムにおいては,名詞の説明文を収録した辞書を作成するアルゴリズムを考案し,これを実装した.アルゴリズムの概要としては,まず,ソースコードから識別子とそれに対応するコメントの組を収集し,コメントの自然文を構文解析して得たグラフに対して頻出グラフマイニングを適用する.そして,得られた頻出グラフに対して,フィルタリングなどの様々なデータ処理を行うことで,名詞の説明文を生成する.このアルゴリズムを,国内の研究会で提案するアルゴリズムについて発表した.発表後の議論を通して,アルゴリズムの改善についての知見を得ることができた. 一方,前述の名詞の辞書を作成するシステムの開発に,当初の予想以上の時間を必要としたため,辞書をソフトウェア開発に役立てるシステムの開発は,概要設計を行うのみに留まった. 計画外の進展として,初年度に作成した動詞一目的語の辞書およびその作成手法について,国際会議15th European Conference on Software Maintenance and Reengineering (CSMR2011)において,登壇発表を行った.発表を通して,ソフトウェア工学の第一線で活躍する研究者らに対して研究の成果を周知することができ,さらに,辞書の利用方法などについて様々な意見が得られた.
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