研究概要 |
平成22年度は以下の研究を行った. (1)オペレーティングシステムや応用プログラムが生成するログを確実に保存する機構の研究を行った.平成22年度は,平成21年度に行った実現方式について検討した結果をもとに,仮想計算機を用いて,ゲストOS内で生成されるログを確実に保存する機構の詳細な設計を行った.また,応用プログラムが生成するログについては,確実に保存する手法の実装を完了し,そのオーバヘッドと有用性の評価を行った.さらに,カーネルログについても取得する基本機構を実現し,基本評価を行った.いずれのログ取得方式も,現実的に利用可能なオーバヘッドにとどまっており,さらにログをVMMレベルで確実に保存できることを確認した. 行った研究成果は,学会で発表(2件)した. (2)機密情報の拡散追跡機能は,Linuxを対象として,実現されてきた.クライアント用オペレーティングシステム(OS)として,広く用いられているOSはWindowsが圧倒的に多い.このため,平成22年度は,平成21年度に行ったWindowsにおける機密情報の拡散追跡機能を実現する手法の検討に基づいて,Windowsのファイル操作についてログを取得できる機構を実現した.また,取得したログから情報伝搬の様子を追跡する基本方式を実現し,学会発表を1件行った.この方式は,指定されたファイルについて,いつ,どのように情報が拡散したのかを追跡できるものであり,グラフに変換する機能も備えている.
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