ソフトウェアコンポーネントに対して入出力されるデータの性質や量およびその動作に関する情報を意味の観点から定義しておくことにより、実行時にそれらを監視・制御することを可能とする開発フレームワークと実行環境の開発について、本年度は、定義に用いる各言語の設計に必要となる調査と分析、および監視・制御を実現する手法の調査を行った。またその一部の設計と実装を開始した。 入出力を定義する言語については、各データが表す物理量や概念を表現するための分類を作成した。例えば、ある整数値が重量、速さ、金額のいずれを表しているのかを区別できるような分類であり、より高次元(意味レベル)での整合性の確認を可能にするものである。また、例えば重量でも、単位をグラムやポンドなどを区別することができ、許容する値の幅を適切に管理できるようにするものである。一方、動作定義用の言語については、動作の時間的長さ、動作間隔、動作時刻等の性質を表す分類を作成した。しかし、動作対象を定義する手段が決まらなかったため不十分な分類となっているので、来年度は動作対象の列挙と分類を優先して行う必要がある。本研究では入出力と動作をユーザが容易に設定(定義)できることが重要であり、そのため各言語の視覚的デザインが寛容である。すでに決まった分類要素についてはすでにアイコンのデザインを開始した。なお、コンポーネントの動作を監視・制御できる実行環境に実現に向けて調査を開始した。プロセス監視、ネットワークポート監視などの実装技術を調査したが、OSへの強い依存が存在するため、手法を絞り込むことができず、実験を行うまでには至らなかった。現実的な手法の選択は来年度の課題である。
|