研究概要 |
本年度はソフトウェア開発経験を抽出するための情報として,テスト実行した際のテスト対象プログラムとテストプログラムおよび実行結果だけでなく,プログラミング中にアクセスしたファイルについての読み書き情報を蓄積するツールを実装した. 昨年度までの実験結果により,テスト実行時のプログラムと実行結果だけでは,エラー発生時に修正するためのノウハウとして得られる情報が少なすぎることがわかった.そのため,開発中に参照・編集したファイルに関する情報を蓄積するようにツールを改良した.これを実現するために,統合開発環境eclipseでファイルを開いた情報,タブを選択し,ファイルにアクセスした情報,編集した情報をファイルアクセスログとして蓄積するための機能を追加実装した. 本ツールを組み込んだeclipseを利用して,既存ソフトウェアに機能追加を7人に実装してもらったところ,他の人の開発中のファイルアクセス履歴を活用することが同様の機能追加時に役立つことがわかった.本研究ではファイルの読み込み・書き込みのパターンをソフトウェアの修正におけるコンテキストとしてとらえ,コンテキストを考慮した修正支援手法を検討した.本実験は機能拡張であるが,バグの修正においても同様にファイルアクセス履歴が有用であると考えられる. 今後はバグ発生時における修正支援が可能かどうかの確認,どの程度適切な支援が可能かどうかの評価を行う予定である.
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