研究概要 |
本研究では,時間変化する確率的システムをモデル化し,シミュレーションや性質の推論・検証を行うための高水準な制約プログラミング言語とその処理系を構築する.第2年度である平成22年度には,シミュレーション手法における区間制約伝播技術の導入に関する研究を行った.より具体的には,非線形制約および常微分方程式が連立された数値的制約充足問題に対する区間制約伝播の適用について研究した.本研究では,常微分方程式をそのまま制約として扱うのではなく,解オペレータと呼ばれる関数として表現する方法を採用している.このような解オペレータは非線形制約に埋め込むことができ,このようにすることで非線形制約と常微分方程式が連立された問題を数値的制約充足問題として表現することが可能になる.本研究では,このようにして得られた数値的制約充足問題に対して区間制約伝播を適用することで制約充足を行う.数値的制約充足問題の観点からは解オペレータを通常の関数と同様に扱うことができ,常微分方程式の計算をブラックボックス化できるため,本研究では,区間解析に基づく既存の常微分方程式解消系を利用することで解オペレータの計算を行うようにしている.区間制約伝播においては,区間Newton法をはじめとする通常の数値的制約充足問題のための効率化手法を取り入れることが可能である.また本研究では,このような常微分方程式の解オペレータを処理する上での効率化手法についても検討した.
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