研究概要 |
半導体技術がさらに進歩しつづけるメニーコア時代においては,高速化,低消費電力化,高信頼化,コスト削減が重要となってくる.当該年度では,それを念頭においた研究を実施した. メニーコア時代においては,各コアが協調して動作しながら複数のプログラムを実行するため,アルファ粒子や宇宙線に起因するソフトエラーへの対策がますます重要になる.その対策として,アーキテクチャレベルでソフトエラーを検出し,訂正するための,低コスト,低電力な機構を提案した. メニーコア上では,複数のプログラムを同時に実行してプロセッサのスループットを向上させると同時に,プログラム単体の性能を向上させる必要がある.それに対し,実行環境に応じて複数のコアを融合し,ハードウェア効率の高い,単一プログラムの実行性能を達成するための最適コア割り当て手法を提案した. メニーコアにおいては,ハードウェアをできるだけ単純化して,遅延,電力などを低下させつつ,高度なデータ供給機能を実現する必要がある.その手段の1つとして,アプリケーションの振る舞いに応じて,動的にデータの供給ポリシーを変更する機構の提案を行った. メニーコアにおいては,チップ内の独立した複数のローカルメモリ(キャッシュ)上に配置されたデータの一貫性を保つために大量の通信を行う必要がある.その通信負荷の影響を緩和するために,各データの参照可能を動的に確認しながら,一貫性を保つ処理を分散的に行う機構の提案を行った. メニーコアにおいて,プロセッサ間で通信を行うと,コア間で頻繁に通信を行う必要がある.通信に時間がかかるほど,その通信に依存する実行が遅れてしまう.それを解決する手段として,通信値の予測に基づく投機的実行を行うことができるが,実装コストが大きい.そこで,より低いコストで通信値の予測を行う機構を提案した.
|