非均質なストレージ装置で構成されたSANにおいて、データを適切に移送することにより、多様なストレージ装置のもつ特性を最大限に活用する分散ストレージシステムを検討した。SANに接続された非均質なストレージ装置間で自律的にデータを移送することで、ストレージ資源を有効活用する。また、ネットワーク上に流れる情報を効率良く伝達することで、管理コストの最小化を図る。 24コアプロセッサのサーバ上に構築した最大48台の仮想PCをギガビットイーサネットによって接続することで評価用環境を作成した。この環境の上で提案方式の評価を行った。フレームへの情報付加により、ジャンボフレームを用いる環境においては、オーバヘッドの増加を軽微に抑えられることを確認した。また、ノード間で交換する管理情報を、ネットワーク上のスイッチまたはルータでキャッシュする支援ハードウェア機構を検討した。この機構では管理情報をブロードキャストフレームやマルチキャストフレームに付加することで、各ノードが個別に送信する管理情報を減らし、ネットワークのオーバヘッドを削減する。ソフトウェアの面からは、管理コストを低減させるために、応用プログラムインタフェース(API)の仕様設計を行った。応用プログラムに対し、ストレージへのアクセスパターンが静的に推測できる場合には、その情報をAPI経由で通知させることで、無用なデータブロック移送を回避できるようにした。これにより、ハードウェアとソフトウェアの両面から、最適なデータ配置を自律的に決定する方式を開発した。
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