研究概要 |
FPGAの設計の中で配置問題は二次元配置問題であり,この問題はNP完全であることが知られている.配置・配線を実行しているツールとしてVPR(Versatile Place and Route)がある.VPRは配置をSA(Simulated Annealing)のアルゴリズムを用いて実行している.しかし,このVPRはある論理ブロックと接続関係があるすべての論理ブロックを近傍に配置することだけしか考慮できていない.そこで,組み合わせ最適化問題の解法である自己組織化マップに注目する.自己組織化マップは生体のニューロンを工学的にモデル化したニューラルネットワークの一つである.高次元データを二次元に写像することができるため一般的に高次元データの可視化などデータマイニングとして使用される.これを配置に適応することによって高次元のファクタを考慮して配置を実行できる.また,SOMは入力を二次元に写像して行く過程で同じ属性を持つものを近傍に写像する.論理の局所性をモデリングするにあたり,従来の設計フローにて用いられているネットリストより論理ノード間の結びつきを調査する.ここで,ネットリスト中の論理をノードV,配線をエッジEで構成されるG(V, E)のグラフと考えた場合,論理合成後のG(V, E)がどのような変遷をしているかを統計的に示す.本年度はネットリストの接続関係を入力ベクトルとして表現し,小規模ベンチマーク回路に対しVPRとの性能比較を行った.その結果,従来手法と比較して平均2%,最大24%のクリティカルパス遅延の削減を達成した.
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