研究概要 |
本年度はFPGAの配線構造を自己組織化マップの出力層としてモデル化し,配置問題を対象として組合せ最適化問題に自己組織化マップ(Self Organization Map : SOM)がどの程度性能をもつかのフィジビリティスタディを行った.第一に,単一セグメント長に対し,従来のバウンディングボックスタイプの配置アルゴリズムに対し,どの程度の精度でSOMが配置可能かを見積もった。その結果,MCNCの複数回路ではほぼ同程度の精度の解が得られることを確認した.第二に,論理の局所性をモデリングするにあたり,従来の設計フローにて用いられているネットリストより論理ノード間の結びつきを調査した.ここで,ネットリスト中の論理をノードV,配線をエッジEで構成されるG(V,E)のグラフと考えた場合,論理合成後のG(V,E)がどのような変遷をしているかを分析し,得られた統計結果を元に(例えば,論理関数,共通なファンイン,クリティカルパス上の論理段数等の)特徴量の抽出を行った.その結果,出力層にはセグメント長を考慮することで直接網としてネットワークを形成し,簡易プログラムを作成することでセグメント長を考慮した配置がなされていることを確認し,マルチセグメントを考慮した配置が行える可能性を示した.今後は,オープンソースで公開されている配置配線ツールVPRを改良し,SOMに対応させるとともに,既存の配置配線結果との比較を行う.
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