研究概要 |
本年度は,まずオポチュニスティック型ルーティングの計算機シミュレーションプログラムを作成し,スループットや遅延等の基本通信特性を明らかにした.本研究では,送信者が宛先を決める送信者主導のオポチュニスティックルーティングを採用した.次に,指向性アンテナとオポチュニスティックルーティングを利用したプロトコルにおいて,deafness問題に起因するパケットエラーの影響を調査した.さらに,deafness問題によりスループット性能が大幅に低減するという問題に対し,近隣ノードのオーバーヒアリングと代理パケット送信を適用することによりエラー補完することでエラーレジリエンシーを向上させるクロスレイヤプロトコルを提案した.提案手法の計算機シミュレーションプログラムを作成し,提案手法の性能を明らかにした.その結果,5ノード程度の基本的なトポロジにおいては性能の向上が得られるが,ノード数が多く,ノード密度が高い環境下では大きな性能向上は得られないという知見が得られた。また,ソフトウェア無線実験装置を用いた基礎的な実装実験を行い,1対1の単純な通信におけるパケットエラー率を測定した.さらに,ESPARアンテナの実際のアンテナビームパターンを考慮したヌルステアリングを利用する対干渉型プロトコルやマルチキャスト手法,エラーレジリエンシーの向上を目指したネットワークコーディングの適用,マルチホップネットワークの負荷分散手法についても検討した.
|