【具体的内容】 平成23年度には、これまでPCルータ(OS:Linux、経路制御ソフト:Quagga)上でのみの実現にとどまっていた広告解釈プログラムの実装を商用ルータであるCisco IOS上においても実現した。また、従来のPCルータ上での実装と今回のCisco IOS上での実装を混在させた環境においても広告機構は問題なく動作し、相互運用性について確認が出来た。 【意義】 本研究は、アプリケーションサービスごとのアドレス割り当てを促進させ、ネットワークユーザが多種多様なサービスを受けやすくする基盤作りをしようとするものである。また、グローバルIPアドレスを配布しているもののインターネットへの到達性のないIPv6網の中で提供されるサービスと、インターネット接続サービスとの混在も容易になるものと期待される。商用サービスを支える経路制御インフラとしてCisco社製ルータが一般的に用いられており、この機材の上で動作する実装を実現できたことは本提案の実用的な意味での実現可能性を飛躍的に向上させたものと考えられる。 【重要性】 IPv6では1ホストが複数のIPアドレスを持つことができるようになったこともあり、インターネット接続の頑健性向上などの理由で複数のIPアドレスを付与する運用形態も考えられる。一方でセキュリティ上の問題から、ISP(インターネット接続事業者)は、顧客側から来るトラフィックに対して自組織が顧客に対して配布したアドレス以外のアドレスを送信元とすることはないという仮定を置き、その仮定に反するトラフィックを捨てるような運用をすることが多い。この結果、到達すべき相手にトラフィックを送付できない問題が起こる可能性が高まっている。本研究はこのような問題を回避し、IPv6による安定的なインターネット接続環境を提供することで、IPv6導入の促進を図るものである。
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