研究課題
本研究では、無線ネットワークにおけるモビリティの影響を適切に評価できるよう、ユーザ密度分布や滞留時間分布など、個々のユーザ移動から生じ、ユーザ全体もしくはユーザの一部を対象として観測できるような移動特性に着目し、それらを任意の状態に誘導するモビリティモデルの確立を目指す。今年度は、提案するモビリティモデルを発展させ、任意のユーザ密度分布を生成するだけでなく、指定されたユーザ密度分布を維持しつつ、移動方向とその移動方向に移動するユーザの割合を領域毎で指定可能なモビリティモデルを考案した。この手法では、ある領域から別の領域に移動するユーザの割合を確率(移動確率)で表し、その確率に基づきユーザが移動するモデルを採用している。移動方向毎のユーザの割合を指定可能なモビリティモデルを実現するため、ある領域においてある移動方向に移動するユーザを移動確率により表し、指定された移動方向毎のユーザの割合を満たすような移動確率を決定する非線形計画問題として定式化した。また、この非線形計画問題を解くことにより、ユーザ密度分布が同じであったとしても、移動方向が異なるモビリティを多数生成できることを示した。さらに、このモビリティモデルを活用することにより、ユーザが移動する方向の違いにより、モバイルアドホックネットワークの性能が大きく変化することを示した。この性能評価試験においては、ユーザの移動方向とその割合の全てのパターンに対して試験を実施するのではなく、ネットワーク性能に影響を与える移動方向を機械的に発見する方法を提案し、効率的にネットワーク性能に与えるモビリティ特性を発見できることを示している。これらの研究成果の一部を情報処理学会 DICOMO 2011シンポジウムで発表し、最優秀論文賞を受賞している。
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情報処理学会論文誌
巻: Vol.53, No.1 ページ: 232-242
Proceedings of 2011 IEEE Eighth International Conference on Mobile Ad-Hoc and Sensor Systems (MASS 2011)
ページ: 302-311
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Proceedings of 2011 IEEE 19th Annual International Symposium on Modelling, Analysis, and Simulation of Computer and Telecommunication Systems (MASCOTS 2011)
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10.1109/MASCOTS.2011.69