本年度は以下の項目について研究を行った。 (1)全周波数の利用状況が変動するコグニティブ無線環境における非実時間通信に適したデータチャネル選択メトリックの実装評価による有効性評価 (2)経路制御技術で考慮する必要があるクロスレイヤ制御技術について着目し、下位レイヤとの連携手段について考察・検討した まず、400MHz~6GHzの広範囲の周波数の利用状況が、時間的・空間的に変化するコグニティブ無線環境において、送受信ノード(車両)が非実時間通信を行う場合を想定し、その通信に適したデータチャネルの選択メトリックを昨年度考案したが、本年度はその実装を行い、実環境において実現性、及び有効性を検証した。その後、これらの研究成果を電子情報通信学会のソフトウェア無線研究会において対外的に発表した。 次に、コグニティブ無線環境における経路制御では必要不可欠な上位/下位レイヤ間連携、つまりクロスレイヤ制御に着目し、経路制御が考慮する必要がある下位レイヤの情報について考察・検討した。具体的には、経路制御手伝は、(a)ノードの移動に伴うトポロジ変化や(b)プライマリの通信状祝の変化を検知するセンシング情報、(c)周波数切替によって発生するレート、遅延などの通信特性の変化、さらには(d)経路の面では通信インターフェース数を意識した制御が必要となる。これらのクロスレイヤ制御に関する検討については、電子情報通信学会のソフトウェア無線研究会においてパネル講演の中で発表を行った。 今後は、今年度の実装をマルチホップ通信に拡張すると共に、考案したクロスレイヤ制御を満足する経路制御を提案し、まずはシミュレーションによる評価を行う。その後、提案経路制御手法を実装した上で、実環境において提案手法の有効性について検討を行う予定である。
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