研究概要 |
本研究の目的は,次世代暗号であるペアリング暗号の,様々なセンサノードへの効率的なアセンブリ実装法を確立することである.平成22年度は,標数pのAteペアリングの実装の効率化を主テーマとした.特に1.Ateペアリングの対称化,2.Ateペアリングの実装で必要な12次拡大体の構成法,の考察を行った,1.について:他のペアリングと比較してAteペアリングは計算高速性という優位性を有しているが,非対称ペアリングであるため多くの暗号プロトコル,特にセンサノードに適したIDベース暗号や放送型暗号,キーワード検索暗号には使用不可であった.従って,これらのプロトコルには計算速度の遅いペアリングを使用する必要があった.1.では,常に2点ペアで処理を行うことで,Ateペアリングを対称ペアリングとして扱えることを示した.平成23年度ではこの手法を用いてセンサノードへの実装を行う.2.について:ペアリング実装における課題事象に,拡大体構成がある.従来は,乱数によるパラメータ設定での拡大体の構成とその後の機能確認の繰り返しを行っていた.しかしながらセンサノードのような計算資源の乏しいデバイスでは,これは高負担な作業である.2.ではBNパラメータzがz=7,11(mod 12)を満たすとき,常に同じ方法で拡大体を構成できることを示した.従って本研究の成果により,ペアリングを実装する際拡大体の機能確認が不要となり,効率的にペアリング暗号をセンサノードに実装できるようになった.
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