研究概要 |
今年度は,(a)無線メッシュ網を想定したレイヤ2ハンドオフ処理遅延の基本測定,(b)アクセスポイント(AP)間での複数のVLANを利用した経路設定法の2項目について研究を行った,(a)については一般的に用いられているスイッチングハブを多段接続してAPと端末間を結び,端末が接続するハブをつなぎ替えることでハンドオフを模擬し,ハブの学習テーブル更新による経路再構築が完了するまでの遅延を測定した.この結果,端末からAPに向けて常時パケットが送信されている状況であれば,学習テーブルの更新はハブ一段につき約4msで完了すること,APから端末に向けてのみパケットが流れている状況では,ハンドオフの検出に数秒を要することを確認した.つまりレイヤ2での高速ハンドオフの実現に当たっては,移動した端末側からの通知パケットの送出が不可欠であることが明らかになった. (b)については,ハンドオフの過渡処理を円滑に行うため,通信中にハンドオフを伴う移動を行う送受信端末間に対して最低でも2本の独立経路を設定することを目的として,可能な限り少ない数のスパニングツリーを組み合わせることで網の全てのリンクを覆う方法の研究を行った.具体的に,互いに重なるリンクの数が最も少ないツリーをヒューリスティックに選択してゆく方式を提案した.ノードがランダム配置された網を対象に評価した結果,ツリーを全ての候補からランダムに選択してゆく手法と比較して,ツリーの数をツリーの数を最大で40%程度低減することができることを確認した.
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