本研究では、内部構造を持つ3次元モデルを簡単にデザインできる実用的な手法を開発することを目標としている。我々が目指すのは、特殊な計測装置などを持たない一般のユーザが手軽に使える手法であり、これにより例えば医療や教育の現場において人々が3次元的な内部構造を含む物体の概念を伝えるのを支援すること等が可能になる。 具体的には、使いやすいユーザインタフェースで、多くの種類のソリッドモデルをデザインできる手法を研究した。断面の写真を元にして、ユーザが適切に対応関係や大体の3次元的な構造を与えると、計算機が自動的に中身の詰まった3次元モデルを生成するようなシステムの開発を行った。内部的には、テクスチャの局所的な特徴を表現した3次元テクスチャサンプルを生成し、それを3次元物体内部に繰り返し貼り付けることで全体的なモデルを表現する。その際に、テクスチャサンプルの合成の仕方を設定したり、繰り返し貼り付けるときの貼り付け方を自由にユーザが指示したりできるように工夫を行う。本年度は特に、層状の2次元の断面のテクスチャから3次元のテクスチャサンプルを作成する方法について研究開発を行った。単純に既存手法を利用した場合には、繰り返しが現れて不自然な結果になるため、それを回避する手法としてなるべく違う場所からサンプルを取ってくるような制限を加える方法を提案し、有効性を確認した。その成果についてコンピュータグラフクスに関する権威ある国際学会であるsiggraphにおいて学会発表を行った。
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