研究概要 |
・大規模森林のリアルタイム表示を実現させるための手法を構築 本手法の特徴は,全国規模の植生図から実物と同等の樹木数をもつ森林を動的かつ高速に生成する点にある.森林の生成を動的に行うことで,事前に膨大な数の樹木を生成および保存しておく必要がなくなり,どのような規模の森林であっても可視化が可能となる.本年度は以下の3種の手法について研究を行い、様々なスケールの森林をシームレスに表示するアプリケーションを実装した。 (a)樹木を構成する枝の位相情報を枝コードと呼ばれる効率的な表現へ変換することで、形状を自動生成する際の枝同士の順序性を排除し、GPUによる樹木の並列生成を実現した。また、枝コードを枝の太さの順に並べ替えたリストを用いて、森林生成の高速性を損ねずに樹形の詳細度を動的に変更できる手法を構築した。 (b)約315万の群落から構成される植生図を前処理により植生ブロックに分割して扱うことで、高速な植生情報の読み出しを可能にした。検索に要する時間は0.3ms以下であり,十分に短い時間で探索できることを確認した。 (c)植生調査に含まれる自然度とノイズ関数を組み合わせることで、地域の特性に応じた樹木の自動配置および植生境界を自動生成した。生成された植生境界は自然界に見られるような入り組んだ形状および飛び地のような小規模の森林等が表現され、実物に近い結果を得ることができた。 以上の3手法を融合させることで、全国規模の森林情報に基づき約一千万ポリゴンから構成される森林を24fps以上のフレームレートで描画できるソフトウエアを実現した。本成果を論文およびHPを通じて公表した。
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