本研究課題では日常生活環境内に加速度センサやRFIDなどを大量に埋め込んだ「大量空間センサ環境」を構築し、時空間データベースに格納する研究に取り組んだ。この際、利用者はセンサの存在を意識しなくてよい「人にやさしい」センサデータベースの構築を目指した。その実現のために、I~Vに示される5点のサブテーマを設定し取り組んできた。平成22年度は、次のような成果を得た。 サブテーマI(総括的研究:大量空間センサ環境の構築とデータベース化)について、ウェアラブルRFIDリーダを用いた環境構築を行った。このとき、情報取得のためにRFIDリーダのバッテリ持続時間が課題となる。この課題をサブテーマIIIとして、実験的検証に取り組んだ。解決の工夫として、サブテーマV(ドメインオントロジの構築)を利用し、重要なもの・場所と、そうでないもの・場所の区別ができるモデル化を行ない、実際にオントロジを登録したデータベースを構築した。このデータベースを活用することでバッテリ持続時間が延長できることを示した。 サブテーマII(利用者の行動取得)については、ウェアラブルRFIDリーダに加え、加速度センサを装備させて、行動認識を行う方法を提案し、実装・評価した。RFIDとデータベースを共用することで認識すべき行動の範囲を限定できた。しかし、実験的評価であったため、より現実的なアプリケーション環境で評価が課題として残った。 サブテーマIV(環境にばらまかれたRFIDの記憶領域に情報埋め込みを行う研究)については、本データベースを構築するためのデータベースアクセスに注目し、データベースサーバへの問合せ回数を減らす研究に取り組んだ。
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