近年、YouTubeやGoogle Videoといったインターネット放送の利用者が世界的に急増している。インターネット放送では、映像や音楽といったコンテンツをインターネットを介して配信する。これまでの電波放送とは異なり、非常に多くのコンテンツを視聴者に提供できる利点があるが、人気のあるコンテンツに視聴要求が集中すると、配信サーバの負荷が大きくなり、コンテンツの再生が頻繁に中断されるという問題が発生する。そこで本研究では、端末伝送型のインターネット放送におけるコンテンツ配信方式を提案し、コンテンツの再生中断時間を短縮する。端末伝送型インターネット放送では、コンテンツを再生する端末間でもコンテンツのデータを伝送することで配信サーバにかかる負荷を軽減し、再生中断時間を短縮できる。本研究では、研究期間内に「端末伝送型インターネット放送における途切れのない再生に必要な待ち時間」「端末伝送型インターネット放送における再生中の途切れ時間」等を明らかにする。平成21年度は、映像データの再生時間やビットレート、ピース(コンテンツを分割したデータ)の数といった様々なパラメータを変更し、端末伝送型インターネット放送における待ち時間や途切れ時間がどの程度になるかをコンピュータシミュレーションにより求めた。また、通信帯域に基づいて受信先となる再生端末やピースを選択する手法、重要度に基づいたピース選択手法を提案し、提案手法の有効性を確認した。提案方式では、端末が複数の端末に同時にピースを送信しないようにすることで通信帯域の安定化を計り、スケーラブルにピースの送受信を行っている。
|