研究概要 |
初年度は、アウトラインフォントのデータを念頭に置いた特徴点抽出手法の研究を行い、実装を進めた。検討した手法は以下の3手法である。 A) 制御点分析手法:フォント中のベジエ曲線制御点の内分点を検査することで検出する B) 細線化手法:ベジエ曲線により定義される閉領域の塗りつぶし処理を調整することで検出する C) ベクトル解析手法:ベジエ曲線からの回転寄与(rotation)を計算することで検出する 3手法に共通して必要なTrueTypeおよびPostScriptフォントの2次スプラインまたは3次ベジエ曲線を抽出する部分についてはFreeType2のフォントパーサを用いて実装を完了した。元データからの直接の制御点の抽出(手法A,C)は完了し内分点の位置決めアルゴリズムの検討を進めている。 第一段階として、制御点間の距離のみ(兵領域の面積計測など二次元的な評価を行わない)で書体の特徴を評価するための文字選定を進め、情報処理学会試行標準WG7「フォントリソース参照方式」に提案し、採用された。 また、ラスタライズ結果からの中心線抽出(手法B)としてラスタした2値画像にガウス拡散を与えてグレイスケール化した後、その濃度鞍点を拾うことによる中心線の抽出を検討した。様々な字形で検討した結果、「あ」「お」「す」「な」など、小さな閉空間を持つ字形では、異なるストロークからの拡散が影響して適切な中心線の抽出に誤差が発生することが判明した。ガウス拡散を塗りつぶし領域でクリップするなどの方法でこの誤差の発生を防止する方法を検討している。 本研究では平仮名を対象としているが、曲線を主体とする金文・篆文字形を直線のストロークに置き換えて明朝化する際、屈曲点の解釈の違いから統合不能な字書字形が造字されて国際標準に提案されている問題が明らかとなり、これについて学会および標準化関連の国際会議にて問題提起した。
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