研究概要 |
本研究では,本年度,歴史・文化に関する人文社会科学分野のマルチメディアデータ群を対象として,データ間の意味的・時空間的関連性を動的に計量・分析し,その分析結果を時間軸を伴った三次元地図(4D世界地図)上に可視化する情報分析システムを実現するため,以下の機能を設計,実現した.(A)分析対象メディアデータおよびクエリ生成用メディアデータ群から時間的・空間的情報をメタデータとして抽出する機能を設計,実現した.この機能により,ユーザの検索・分析意図および時空間情報に応じて意味的クエリおよびメディアデータ・クエリが自動的に生成できるようになった.(B)歴史・文化に関する時間的・空間的情報データベースの設計,実現を行った.(C)平成21年度に実現したメディア別意味的情報検索システムとの時間的・空間的情報データベースとの連結・統合を行う,グローバル・アナライザーの設計,実現を行った.この機能により,歴史・文化に関するマルチメディア群を多角的・動的に検索・分析し,内容やコンテキストの時系列的変化や地域別差異に関する分析することが可能となった.(D)連結・統合された意味的情報検索システムおよび時間・空間的情報データベースから得られた情報を用いて,因果関係を分析する知識発見システムを設計,実現した.(E)実現された分析システムの結果を,時系列および問題領域・情報源・イシュー別・地域別に表示可能とする4D世界地図を設計し,実現した.(F)分析結果を,4D世界地図上に可視化する機能を設計,実現した.(G)利用者が検索条件ならびに問題領域に関するキーワードやメディアを入力するユーザ・インターフェイスの設計,実現を行い,ユーザビリティに関する実証実験を行った.本システム実現に関する学術的成果として,4件の雑誌論文の発表(内,査読有り4件),4件の国際学会発表(内,査読有り4件),および,2件の国内学会発表(査読無し)を行った.
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