研究概要 |
昨年度までに,時空間ボリュームデータを生成し,高次元データを2次元空間に投影する技術(時空間データマップ)を開発し,本技術をクライアントーサーバ環境で実装した. 本年度は(1)さまざまな次元のデータへの適用,(2)多変量データへの適用,(3)大量サンプルの比較技術の開発に取り組んだ. (1)さまざまな次元のデータへの適用では,従来3次元データを,xyzそれぞれの軸に対して等分化する8分木構造を用いていたのに対し,2次元データに対しては4分木,もしくは高さを固定した時空間データマップを作成した.また,角度と距離で3次元空間を定義しているデータへは,角度と距離を指標にした8分木を作成し適用することで,提案手法の広い汎用性を示した.(2)多変量データへの適用では,1変量しか示せなかった時空間データマップに対して,多変量データを統計学的に1変量に圧縮する手法の開発や,データは圧縮せずにすべての多変量データを用いてアイコンを作成して情報を示す手法の開発に取り組んだ.これらの技術開発によって,多変量データに適用でき,変量の変動だけでなく変量間の相関も示せるようになった.(3)大量サンプルの比較技術の開発では,既存手法であるパラレルコーディネイトを実装し,時空間データマップと連携して多くの情報を示すシステムへと拡張した.また,軸の入れ子構造化を図ることで大量データの提示を可能とした. これらの開発を通じて,多くの分野で有効に利用できる技術であることを示した.
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