研究概要 |
本研究課題では,PC作業時のユーザ作業を阻害しない情報システム実現に向け,ユーザのPC使用状況からユーザ状態を推定する手法を確立し,オンラインコミュニケーションにおける会話開始支援へ適用することで,円滑に会話を行えるオンラインコミュニケーションのための基幹技術を築くことを目的とする. 本年度は,ユーザがPCを使用する際に得られる入力情報からユーザ状態"割り込み拒否度"を推定する手法を確立するための分析と,分析結果を元にシステムを試作し,有効性を検証した.本研究では,ユーザがPCを使用する際に得られる入力情報として,従来手法におけるキー入力,クリック・ホイール入力に加え,使用アプリケーションの切り替え(Application-Switching : AS)情報に着目する.AS時は割り込みに対するユーザの拒否度が有意に低下することを再確認し,NIRS (Near Infrared Spectroscopy)による脳血流計測によってAS前後で血流量が変化すること,ASによる拒否度低下時間が2秒程度であることを示した.また,AS時の詳細な分析を行うことで,割り込み拒否度を推定するための特徴群を選定し,この特徴群に基づく拒否度推定法の検討を行った.本手法により,特殊なセンサを用いずとも,ユーザへの適切な割り込みタイミングの推定が可能となることが期待される. さらには,ユーザの割り込み拒否度推定機能を有したオンラインコミュニケーションシステムを試作し,アバタの姿勢・動作による拒否度表示,アバタの視線制御による話し掛け支援が,オンラインでの円滑な会話開始を支援することを実験より示した.
|