本研究はオノマトペを活かした新しいヒューマンコンピュータインタラクション手法を提案するというものである。オノマトペとは「ざわざわ」「キラキラ」といった擬音語・擬態語で、物の様子や動き、感覚などをうまく表現することができる言葉である。オノマトペは日常的な会話や文章の中で多く用いられるが、コンピュータとのインタラクションにはあまり活用されていない。オノマトペをインタラクションに取り入れることでコンピュータの苦手としてきた感覚的なインタラクションを実現できると考えている。 2009年度は、声に出したオノマトペを音声認識することで、そのオノマトペに応じたブラシに切り替えるペイントツール「オノマトペン」を試作した。例えば「てんてん」と言いながらストロークをすることで点線を描くことができ、同様に「もこもこ」した線や「キラキラ」した線、「ギザギザ」した線などを描くことができる。また、ブラシの切り替え以外にも「消し消し」と言いながらペンを動かすことで線を消す機能や、「チョキチョキ」と言いながら切り取って「ペタペタ」と言うことで貼り付ける機能、「びよーん」と言いながら画像をなぞることで画像の一部をゴムのように引き延ばす効果をかけるといったことができる。 試作したオノマトペンをユーザーテストしたところ、どのユーザーもすぐに使い方を覚えることができ、直感的に使えることが分かった。一方でオ ノマトペによっては音声の誤認識によって思い通りの線を描けない問題などが明らかになった。 また、オノマトペンに関して日本ソフトウェア科学会のジャーナル論文を執筆し採録された。
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