研究概要 |
われわれの知性を集約・活用できる協創メディアは情報通信技術(ICT)の大きな目標であり,知識基盤社会を支える科学技術として重要である.その代表システムとして,人々の問題解決や意思決定を支援する電子会議システムがある.電子会議システムの理想は参加者全員がもつ知識を活かした会議を実現することである(この参加者全員の知識を活かした状態を'グループ知'と名付ける). 平成22年度は,参加者がもつ知識を活かした会議の事例として,集合知の成功要因とされる4つの性質(多様性,独立性,分散性と集約性)を考慮した会議プロセスを検討した.この会議プロセスでは,社会心理学実験によって問題点が指摘され続けた「三人寄れば文珠の知恵」を越えるために,「十数人寄れば文珠の知恵」を目的とした.具体的には,3人のグループを4グループ作り,4グループで出された意見がどのように使われると,最後の結論がよくなるかどうかを検討した.その結果より(1)多くの意見を利用,かつ,集約性の高い会議技法においてまとめ文章の結果がよいこと,(2)その会議技法の参加者は元意見データに関係がない途中参加者でもよい結果を導ける可能性がわかった.この検討において,会議で出された意見データおよび,そのグループ化データと結論文章との関係を考察した.そして,文章内容がよいものほど,集合知の4性質を満たすデータ関係が得られた.以上の成果を用いて,データ関係を用いた集合知の状況判定によって,グループ知の状況を利用者にガイドできる電子会議システムの基本設計を得る事ができた.
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