研究概要 |
本年度は,視覚による認識が制限された作業環境下で,コントロールされているシステムの状態を可聴化するためのデータから音への効果的なマッピングの設計について検討した. ●尺度の理論(TheoryofScaleTypes)の観点からデータ(=表現される変量)と表示(=表現する変量)の整合/不整合のパフォーマンスへの影響について議論するために,1次元トラッキングタスクを用いた比較実験を実施した.その結果,目標状態からの距離(比例尺度)と方向(名義尺度)をそれぞれ音量と音色で表現するマッピングが最も効果的であることを確認した.さらに距離情報の可聴化に関しては,音の聴こえの大きさ(ラウドネス)を考慮したスケーリングの設計が効果的であることを確認した. ●トラッキングタスクを2次元化し,可聴化によって表現される変量間の関連性のマッピングへの影響について検討した.各変量が独立に操作できる場合には,1次元データの可聴化を周波数を変えて重ねることでトラッキング状態を適切に伝達できることを確認した.一方で,変量間に制約が存在する場合には,1次元データの可聴化を応用しただけではトラッキング状態を効果的に伝達できないことを確認した. ●可聴化の設計に関しては,データから音へのマッピングに関して確固たる設計手法やガイドラインは未だ存在しない.上記の研究成果により,目標状態への調整が必要な1次元データの可聴化の設計に関して,明確なガイドラインを示すことができた.
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