研究課題
フルカラー3次元プリンタとプロジェクタを用い、デジタル化された文化財を色・形ともに再現性高く出力するための各種基礎技術について研究を行った。まず、デジタル化された16ビットの色情報を、プロジェクタおよび3次元プリンタ用にそれぞれ8ビットずつ分離する手法を考案した。次に、3次元プリンタ出力モデルの全面を投影できるように、複数台プロジェクタの最適配置を計算するアルゴリズムを考案した。しかしながら、実際には、算出された位置にプロジェクタを正確に配置することは困難であることを確認した。そこで、プロジェクタ配置後、ソフトウェア的に再度位置合わせを行う手法を提案実装した。最終的に、モデルに対してテクスチャ投影を行い、提案手法の出力結果のコントラストが、3次元プリンタ出力単体やプロジェクタ出力単体のコントラストよりも高いことを確認した。以上の研究成果により、提案手法がデジタル化された文化財を高品位に展示できることが示唆された。本年度の研究成果の意義は、提案した基盤技術を発展させることで、一般家庭でも遠隔地に存在する貴重な文化財を手軽に現実感高く再現展示することが可能となる、という点にある。また、関連する基礎研究として、プロジェクタ投影で問題となる焦点ボケを複数台のプロジェクタを用いることで解決する手法を提案した。さらに、位置合わせの幾何学を応用した、モバイル機器間のデータ授受インタフェースなど、提案ディスプレイを操作する上で必要となる種々のユーザインタフェース技術の研究を行った。以上の研究成果をもとに、1編の雑誌論文発表および9件の学会口頭・ポスター発表(国際会議発表含む)を行った。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)
IEICE Transactions on Information and Systems Vol.E92-D, No.12
ページ: 2445-2453
http://www.sens.sys.es.osaka-u.ac.jp/