研究概要 |
本研究では,介護施設において深刻な問題となっている高齢者の徘徊ケア(夜間の定期的見回りと寝つかせ支援)を軽減させるために,高齢者の睡眠段階推定システムを探究し,その有効性を検証することを目的とする.その目的遂行のため,本年度は次の項目を実施した. ● 研究項目1:各々の高齢者に適合したレム睡眠判定ルールの学習 従来手法である万人共通のレム睡眠判定法では判定精度に限界があるため,高齢者毎にレム睡眠判定基準を学習する手法を考案した.具体的には,(1)睡眠段階を判定できる心拍の中周波を抽出し,(2)その中周波からレム睡眠状態の範囲を特定する学習機構を考案した(提案手法の中核となる学習機構をJACIII(ジャーナル),SICE SSI2009,進化的計算シンポジウムにおいて発表した). ● 研究項目2:高齢者の体調の変化にロバストな睡眠判定法の探求 体調の良いときに学習したレム睡眠判定基準は,体調の悪いときには正確ではないため,体調の変化に因らない睡眠判定法を考案した.具体的には,毎日の心拍データから算出されるレム睡眠判定の違いを誤差として計算し,その誤差の少ない判定基準を獲得できる機構を考案した(提案手法とその評価をISMICT 2010, ICCAS-SICE International Joint Conference 2009において発表した).
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