研究概要 |
平成23年度は以下の2つの項目について研究実施を計画し,インターネット上(PubMedや化審法データベース)に公開されている,化合物データを用いて本手法の有用性の検証を行った. 1.広範囲の各種薬理活性クラスに対する化学構造データマイニングの適用と構造特徴の抽出 2.それら構造特徴を用いた活性クラス分類や物性(毒性)予測モデルなどの構造活性相関モデルへの応用 パスフラグメントを構造特徴記述子としたデータマイニングでは,自然言語処理の分野などで使用されている,TF-IDF値の適用を検討した.TF-IDF値によって各パスフラグメントを特徴づけることで,特定薬理活性群を対象とした構造特徴解析を試みたが,学会発表できるような著しい知見は得られなかった. また,TF-IDFによる構造特徴解析の有用性を検証するためにSVM(サポートベクタマシン)による活性クラス分類実験も試みた.活性クラス分類への応用ではSVMを用いてこれまで予備実験を行ってきた.パスフラグメント情報をすべて使用する場合と,上記の特徴解析よって抽出されたパスフラグメントを使用する場合とで結果比較を行ったが,学会発表に至るような知見や結果は得られなかった.また,その適用範囲を化合物の毒性データを使用した構造活性相関モデルへの応用にも広げることも計画していたが,記述子としての評価が思うように進まず実施することができなかった.物性(毒性)予測モデルへ適用することで,創薬研究の初期段階における副作用などを避けたリード構造の提案や,既存薬に対する未知の副作用などに関するリスク推定問題への応用が期待できるため,今後も引き続き検討していきたい.
|