本年度は、モバイルSNSを対象としてユーザの金銭的価値の研究を行った。従来、このようなサイトにおげるユーザの価値は、ユーザの消費行動(具体的には、Recency:来訪間隔、Frequency:来訪頻度、Monetary:金額の3指標)、もしくはユーザの友人関係のネットワーク分析によってなされてきた。本研究では、これらの指標を統合し、ユーザの友人関孫および友人たちの消費行動を同時に考慮した新しい価値指標を提案した。モバイルSNS運営会社から提供されたデータに適用し、提案手法の評価を行った。本研究の成果は、ソーシャルメディアの国際会議ICWSM2010、およびマーケティングサイエンスの国際会議INFORM2010において発表した。 また、ブログからインフルエンサーおよび消費者インサイトを発見する研究成果をまとめた論文は、季刊マーケティングジャーナルに掲載された。 また、3月11日に未曾有の大震災が日本を襲ったとき、情報流通のインフラとしてツイッターは大活躍したが、ツイッターを飛び交う情報は玉石混交であり、現地の状況がいち早く伝わる一方で流言によって混乱が助長され、ソーシャルメディアの良し悪しの両面が顕になった。このことから、情報の信ぴょう性や流言の性質を明らかにすることが急務となった。そこで、ツイッターのツイートを収集するソフトウェアを開発・公発し、東日本大震災やコスモ石油二次災害防止情報などに関するツイートを収集・公開した。現在、収集したツイートデータを用いて、流通・拡散する情報の特性、信頼性、伝播経路に関する分析を行っている。
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