本年度は、モバイルSNSサイトにおけるマーケティングエコシステムの研究を行った。具体的には、テレビCM、ツイッター、プログによる相互作用が入会にどの程度貢献しているかを共分散構造分析によって明らかにしたものであり、各施策の具体的な効果を明らかにした。本研究の成果は、国際会議Social Mobile Webにて発表を行った。 また、影響伝播が起こる際の最適情報格差に関する研究を行った。従来はインフルエンサーと呼ばれる影響力をもった小数の人がその他の大多数の人に影響を及ぼすと考えられてきたが、サーベイ調査およびIDMによる影響力の授受関係を詳細に分析した結果、自分よりも少し影響力の高い人から影響を受けることが明らかになった。本研究の成果は、国際ワークショップSocial Behavioral Analysis and Behavioral Changeにて発表を行った。 また、影響伝播モデルIDMは従来は行列計算により影響量を求めてきたが、これでは大規模データに適用することが難しいという欠点があった。そこで確率モデルを導入し、影響量の近似値を求めるアルゴリズム(IDMstat)を開発した。IDMstatでは、データ量に対して線形オーダーしか計算量がかからないので、大規模データに適用できる可能性が高いことを1万件程度の小規模データによって確認した。 また、従来はテキストデータは多ければ多いほどよいと考えられてきたが、結果が変わらないのであればデータは少ないほど分析の効率は上がる。そこで、必要最小限のテキストデータの分量を見積もる理論的サンプリングのアルゴリズムを提案した。
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