研究概要 |
今年度は,仮説生成の基礎的ながら重要な問題である仮説の順位付けに関して,仮説の妥当性に注目した順位付けの枠組を模索した.従来の研究では,仮説の順位付けを語の頻度に基づいて行うことが一般的である.しかしながら,低頻度の語やイベントから導かれる仮説こそが見落とされがちであると考えられるため,このような仮説の中で特に重要なものを発見することが重要である.そこで,「意味的に類似したイベントから導かれた仮説はより妥当である」という仮定を導入し,これに基づいて新しい仮説の妥当性指標を提案した.この指標は,基本的にはMe SHシソーラスに基づく概念間の類似度を拡張したものである.この妥当性指標の有効性を検証するため,過去に実際に証明された仮説を利用し,これを裏付ける妥当なパスウェイを発見出来るかどうかに茶雲して評価実験を行った.その結果,従来の頻度に基づく指標と比較し,提案手法では仮説を導出するイベントの頻度に関わらず,安定かつ適切な順位付けを行うことができることが示された.もう1つの成果として,遺伝子機能オントロジー(GO)の自動アノテーションが挙げられる.具体的には,GOの階層構造を利用することで限られた訓練データを最大限に活用し,さらに教師なし手法を組み合わせることで,従来手法を上回る精度でアノテーションを可能にした.この結果を仮説生成システムへの入力とすることで,より信頼性の高い仮説が生成出来るものと期待出来る.
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